2010年11月12日金曜日

阿蘇・草千里から地獄温泉へ






11月8日。9月に八女で行われた「山本教行展」に、はるばる南阿蘇から来てくれた李恵さんを訪ねて、久し振りの阿蘇に出掛けました。前回来たのは、2005年に現在の娘婿モーガンが、初めて日本に来た時に家族で出掛け、小さなシトロエンZX(助手席の窓が開かず、エアコンも故障中の)に5人で乗って、モーガンの気分が悪くなった思い出の旅。その前は10年前に、アイルランドの版画家J・グラハムをシトロエンBXに乗せて草千里まで行き、鈴木召平作の“朝鮮凧”を揚げて係員に怒られた、これもまた思い出深い旅です。
今回の主な目的は、李恵さん作るところの「自家製ビール」を御馳走になる事です。9月に聞いた話では、暑さの厳しい夏はビールの醗酵が、もうひとつ上手くいかず、涼しくなってからの方が美味しいビールが飲めるとの事で、楽しみに出掛けました。
同行者は細君の他、店のお客で、いずれは阿蘇で家族と一緒に暮らしたい希望を持っているNさんです。実は、私共は李恵さんの両親Tさん一家とは30年近く前からの知り合いで、母親の和子さんはR・シュタイナーの理論に基づく農業を始めて、20年。3反の畑に、様々な作物を育てています。話だけは前々から聞いていたので、それを見せて貰うのも楽しみにして来ました。
さて、李恵さんと約束した時間午後3時にはまだかなり間があるので、まずは草千里に向かいました。その後、教えてもらっていた「地獄温泉」へ。手前の「垂玉温泉」に到着して前方を見ると、なんと素晴らしい紅葉です。地獄温泉で、お昼を軽くしたためた後、いよいよ李恵さんの御宅に向かいました。自宅手前に、母親の和子さんが作る畑が有るからとの事だったので、まずは畑を見せて貰いました。見慣れている一般的な畑の様子とは、かなり違う見え方の畑です。無農薬、無肥料の畑の土は、乾燥や害虫に強いのだそうです。李恵さん自身は自宅敷地内に登り窯を持つ、陶芸家の卵です。八女に来た時も、「山本作品」を前に「個人作家」の仕事について、あれこれの話をしました。
今回、初めて実際の作品を前に、私自身の率直な感想を述べました。全体として、デザイン性の強いクラフト寄りの仕事に見えます。仕事それ自体の中に、「どう暮らしたい!」と云う生活が見えて来ない、若い人に共通の弱点がそこにある様に思いました。これは、一人李恵さんだけの問題ではありません。
いよいよ、夕食になり「自家製ビール」の登場です。薪ストーブに火が入り、炉が切ってある居間に、和子さんの育てた野菜の煮物、とろろを掛けたマグロの刺身のほか色々、そしてトーフ鍋に炊きたての玄米ご飯です。ビールは飲み慣れたものと違い、一本一本微妙に味が違うのが面白いところです。結局大瓶で6本ほども開けてしまいました。李恵さん、和子さん、ごちそうさまでした。

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