2016年5月30日月曜日

わすれられないもの 14 二つの宗教画

福岡書芸院発行の冊子「たんえん」5月号掲載の記事、「わすれられないもの14 二つの宗教画」をお届けします。

ルーマニア正教会のガラス絵のイコン

江戸後期の仏画

柳宗悦は「美しいもの」を「妙好品(成仏したもの)」と呼んで讃えましたが、「信仰」は東西両洋の世界で、かつて、たくさんの美しいものを生み出しました。しかし、同時にまた、この「信仰」は「自我」や「自意識」にがんじがらめにされている私達、現代の日本を生きる人間にとっては、最も縁遠く理解出来にくい営為あるいは言葉かもしれません。この神や仏に対する「信仰」が目に見える形で現されている様に私には思えるものが、ここに紹介するルーマニア正教会のイコンと呼ばれるガラス絵の聖像画(縦35cm 横30cm)と、江戸後期のもので阿弥陀三尊像を描いたと思われる、元は軸仕立ての仏画(縦18cm 横10cm)です。両方とも家庭に置かれ、壁や仏壇に掛けられて、日常の暮らしの中で祈りの対象となったものです。

2016年5月29日日曜日

「版のもの型のもの展」会期延長のお知らせ


現在開催中の「版のもの型のもの展」の会期を6月12日(日曜日)まで延長いたします。5月22日まで、アクロス福岡二階交流ギャラリーで行われた、福岡書芸院主催の催事「書 花 茶 -あまねや工藝店と共に-」と会期が重なった為充分に準備の時間が取れず、不十分な状態のまま、9日間の会期があっという間に過ぎてしまいました。このまま終えると、自分の中に何か悔いが残りそうな気がして、2週間の会期延長を決めました。ただ、延長期間中の月曜日5月30日と6月6日は休みます。開店は12時から。皆様のお越しをお待ちいたします。

一階ノゾキの花
柚木沙弥郎 額入り型染作品と
印度泥防染の更紗二種
印度鉄額入り 名取敏雄型染作品
btan製品各種


2016年5月21日土曜日

5月催事のお知らせ その4〈 版のもの型のもの展 〉

やって来たもの展
本日21日から29日(日曜日)まで「版のもの型のもの展」と題して、5月最後の催事を行います。泰山金剛経石拓から芹沢銈介、柚木沙弥郎、大澤美樹子そして名取敏雄などの染色家の型染めやリトグラフさらにアートプリントなどを見て頂く催しです。そして同時に、4月後半10日間ほど出掛けた際、手に入れた品のあれこれを見て頂く「やって来たもの展」も同時に開催いたします。長いそして慌ただしかった5月の催事もこれで一段落、振替催事としては充実したものになりました。どうぞ皆様お出掛け下さい。以下は案内状の文章です。

「版」も「型」も、手の仕事を数に移す場合に用いられる技法として考えだされたものです。仏様や神様を木版に彫り刷られた「お札」や、渋で固めた和紙に型を彫り染められた唐草の「木綿布」などはその好例と言えるでしょう。15世紀のドイツに生きたグーテンベルグの名前を、彼の発明した「活版印刷」の名前と共に思い浮かべる方もあるかも知れません。人の暮らしと縁の深い工藝の領域の作り手達も様々な技法を駆使して、自分の仕事を数に移す工夫をしています。今展では、泰山金剛経の拓本やインドネシアのジャワ更紗、藍唐草の木綿生地や型紙、またインドの木版更紗の木型や李朝の菓子型等少し古い時代のものに加えて、芹沢銈介•柚木沙弥郎•大澤美樹子の型染め布や版の仕事など、おもに平面の紙や布に染め或は刷られた仕事を取り上げて、皆様方にお目に掛けようと云うものです。

一階のぞき
印度更紗に更紗の木型
益子で手に入れた鋳物の釜
名取敏雄型染絵の軸仕立
ジャワ更紗二点と柚木沙弥郎たすき紋リトグラフ
吹抜けに掛かる柚木プリント
柚木沙弥郎作型染めと
泥防染の印度更紗二点
インドチーク額に入る名取敏雄型染布
名取敏雄作型染絵
正面棚の様子
btanのあれこれ
名取敏雄作型染布とbtan製品
印度鉄額に入る名取敏雄型染絵

名取敏雄作陶額入型染と型染函
芹沢銈介作「心偈」型染
名取敏雄作型染絵

2016年5月17日火曜日

5月催事のお知らせ その3 福岡書芸院 書展
〈 書花茶 手紙 - あまねや工藝店と共に - 〉


本日17日(火曜日)から22日(日曜日)までの午前10時〜午後6時天神のアクロス福岡二階交流ギャラリーに於いて、福岡書芸院主催の書展「書 手紙 あまねや工藝店と共に が始まりました。
昨日午後3時過ぎ、たくさんの花と一緒に会場入り。あらかじめ運び込まれていた冊子「たんえん」連載の記事「わすれられないもの」所載の工藝品を、会場のあちこちに花と共に並べました。
本日は11時30分から、オープニングセレモニーの茶会があり、折尾で木綿の織物をなさっている中本扶佐子さんが茶を点てて下さいます。どうぞお出掛け下さい。

入り口付近、薬土瓶•函三種
韓国塩辛壷に入るコバノズイナ
入って正面 、越前の水甕やドゴンの梯子
会場奥、布が下がる付近が茶席
会場中央部、スペインの椅子
並ぶ編組品
編組品の向かいに土鍋やトルコピッチャー
左メキシコ土鍋 中トルコピッチャー 右ペルー土鍋
茶席の床、茶掛は外村吉之介自筆「無地極上」
会場奥の飾り棚、並ぶは「たんえん」掲載品
丹波 焼締甕に入るアジサイ
茶席掛け花、西川作品に入るオオヤマレンゲ
ペルー 素焼壷に入るアマリリス

2016年5月14日土曜日

5月催事のお知らせ その2
〈林竹二 授業二部作 上映会〉

1985年「民映研」第一回上映作パンフレット
昨年から、店の二階を使って「記録映画」を見る試みを再開しました。’85年頃から仲間数人で始めた「民族文化映像研究所」の記録映画上映会は、3回目を終えた辺りで女性の知人グループに引き継がれ、20年近く続きましたが、赤字が続いて撤退するしかありませんでした。この処、それらの16mmフィルムがデジタル化されると共に賃貸料金が下がって、利用し易くなった事もあり、今また日本のあちこちで上映会の企画が盛んになっている様です。そんな事情の中で、当店二階の上映会企画も復活した訳です。せめて、半年に一度と思っていましたが、それは困難で、ようやく一年一度のペースです。

奥に立っているのが川井田さん
明日15日は、グループ現代制作の「林 竹二  授業二部作」をご覧頂きます(午後1時開始1500円)。この映画は1977年、沖縄県那覇市にある久茂地小学校の三年生と五年生に対して林 竹二が行った二回の授業、三年生には「ビーバーの習性の観察」を通して、また五年生には1920年代にベンガル(いまのバングラデシュ)で発見された「カマラとアマラ」と言うオオカミに育てられた二人の少女の人間世界への復帰の記録を通して、「人間とは何か」を子供達に考えさせる授業の模様を映像化したものです。再視聴した昨年末、改めて良い映画だと思いました。林竹二は、1970年頃、宮城教育大学の二代目の学長として同大学に赴任し、バリケード封鎖中の大学に一人で入って、二度にわたる学生の自主退去(全国で唯一)を実現させて、「機動隊」の学内導入を防いだ(友人に聞かされるまで私も知りませんでした)大学学長として、また後に諸処の学校に出掛けて行った数々の授業の実践や、筑摩書房から出版された著作集を通して広く知られている教育者です。

今回は「グループ現代」のプロデューサー川井田博幸氏にお越し頂き、制作側から見たこの映画の意義などについてお話し頂く事になっています。ご参加をお待ちします。

2016年5月13日金曜日

5月催事のお知らせ その1 〈 本が一杯 〉


本日12時から、5月の最初の催事である「子どもの本や」販売会が始まります。昨夕、約十箱、その前に運び込まれたものと合わせて十五箱、の段ボール箱にぎっしり詰め込まれた本を持って井上さんが来店。全量を二階に運び上げた後、“本並べ”が始まりました。
私が店の一階で、前崎鼎之さん(福岡書芸院主宰)と17日から始まる「書 花 茶 手紙 ーあまねや工藝店ーと共に」の打ち合わせで失礼している間に開梱は終わり、8時頃には数百冊の本が二階に並びました。いつもながら壮観です。15日、日曜日までです。

二階に並ぶたくさんの本
踊り場もこのとおり
たくさんの絵本