2012年2月19日日曜日

続・案内状の作り方




現在、3月中旬にスタート予定の福井県鯖江市在、河和田塗の塗師・中野知昭さんの催事DMを製作準備中です。写真および文章原稿のデータ類もデザイナーの岩下建作さんに送付が終わり、あとは校正を待つだけのつもりでいた処に、当の岩下さんから着信があり、送ったデータがDM製作には不十分、との事です。話を聞いてみると、私が作り手の中野さんに依頼して撮ってもらったDM用の写真がお気に召さない様子なのです。いつもの案内状の様に作品を写真スタジオに持ち込み、スタジオTechの藤田さんに撮影してもらうのが一番間違いが少ない事はよくわかります。ただ今回、敢えてそうしなかった訳が私の側にあって、岩下さんに申し訳なくはありましたが、私の希望を呑んでもらう事になりました。その訳をお話ししてみます。

DM作りに当たってまず考えるのは、どう撮れば“催事の意図”を写真に反映させたものになり、それを補強する文章原稿が出来るかと云う事です。ある時期まで、DM用写真の画面構成から文章原稿に至る迄、
すべて自分でやっていた事、しかしそれに飽き飽きして、写真は全面的に藤田さんに、またDMデザインは岩下さんに任せる様になって、初めて良い案内状が出来始めた事はお話ししました。
今回の催事は従来の案内状と違い、写真の美しさや画面上の納まりより、たとえどんなに拙くとも、漆器の作り手である中野さん自身の日常の食卓風景が欲しかったのです。当然、それは使う側の私達の食卓風景と大きく違います。その違いを見て貰う事が一つ、そして中野さんの日常と作る事が重なってある事を、使い手の皆さん(お客様)に理解して頂く事、これが大事なもう一つの理由です。今展は、作り手と使い手の食卓の間に橋を架ける試みの一つ、のつもりです。それが“上手く行くのか行かないのか”わかりませんが、中野さんの漆器を店に置き始めたここ2年位のお客様の反応が、私の希望になっています。

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