2011年10月9日日曜日
“ 十八番の会 ” 終了に当たって
“ 十八番の会・五人展 ”に御参加の皆様へ
八女と福岡の2カ所で、およそ3週間にわたって開催した「十八番の会・五人展」が無事に終了しました。終わりに臨んで、この「五人展」に御参加下さった皆様に、まずは御礼申し上げます。ご自分の「個展」と違って、すすめ方も含め見当のつけにくいであろうこの催事に、よく皆様が御参加下さったと思います。それは、裏を返せば皆様方御自身も、これまで自分が馴染んで来た催事の形以外のやり方に、これまでと違う「なにか」を期待なさっての事なのだろうと拝察いたしております。勿論、企画をした私自身も売り手の立場にあるものとして、どうすれば、使う立場にある方々が目の前にあるもの(工藝品)を、自分の暮らしに関わりのあるものとして受け入れ、使って下さる様になるかと云う事を、自分なりに考えた上での事です。
「個展」という形は、一人の作り手が作り出したものを或る場所に並べ、使い手側にそれを見てもらう形をとるのが一般的です。最近は、そこに様々なもの(例えば、珈琲や菓子など)を絡めて、企画するのが大流行の様ですが、これは作品を実際に使って見せる意味でわかり易くはあっても、必ずしも作品の売れ行きに直接結びついている訳ではありませんし、どちらかと云えば、人を大勢呼ぶ為の手立てとしてのみ、案出された色合いが濃い様に思います。「個展」は作り手の表現の場であると同時に「経済行為」でもある訳ですから、それを託された私達売り手の側が、文字通り手を変え品を替えして、一つでも多く売る事に血道を上げるのに何の不思議もありません。ただ、そこで売り手にとって大事なのは、まずは“ 何を選ぶか ”そして “ 何故選ぶのか ”と云う事です。大げさに聞こえたら御勘弁頂きたいと思いますが、そこに並ぶものに自分を重ねて悔いのない仕事を、まず売り手の側が選べているかどうかと云う事であり、自分が欲しいのは結果としての売り上げの多寡だけなのか、或は違う“何か”なのか、と云う事です。
先に、「個展」が「表現行為」であると同時に「経済行為」でもあると申し上げましたが、私にとって選んだものを売る事は「経済行為」であると同時に、私自身の「表現」でもあると思っているのです。見え方としては「寄席」で行なわれる二人羽織に似て、ともすれば“ 頭と手 ”がちぐはぐになるのは避けられないにしても、“ 頭 ”の思いを“ 手 ”が汲み取り、“ 手 ”の気持ちを“ 頭 ”が思いやる事で、これまで形になりにくかった催事が、誰に対しても説得力を持つものに育って行く事を願うばかりです。これからの皆様方の御健勝を祈ります。
2011年10月9日 あまねや工藝店 川口義典
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