2008年12月30日火曜日

Try to remember・・・ 3 玲未さんの事





10月4日から12日まで、川島玲未さんの「へんな人達」60人程と文庫版のブックカバー数十枚を店の二階に並べました。催事の約束をしてちょうど1年目の事です。
昨年秋に別の用で出掛けた八女で、玲未さんの「へんな人達」に初めて会いました。引き合わせてくれたのは、八女市内で「朝日屋酒店」をやっている高橋さん。二人のお嬢さん方が、彼女達のファンなのだそうです。玲未さんが作るのは一種の縫いぐるみですが、その作り方が変わっています。まず手持ちの端切れで、様々な形の小さな布のクッション様の物を作り、次にそれらを任意に(といっても、ある納まりを見つけて)組み合わせた結果、そこに人形が出現するのです。話を聞いてみると、もともとは刺繍(インドのカンタを見てからだそうです)をやっていて熊本でそれらを並べた時、場が埋まらず刺繍より早く出来る人形を作り始めたのだとか。私の目には刺繍よりも、遥かに玲未さんの表現になり得ている様に見えました。世界を見れば、それぞれの土地にそれぞれの表現の一つとして愛すべき人形がたくさん有ります。玲未さんの作る物は、それらに比べると遥かに個人的な色彩の強い物ですが(その作り方ゆえでしょうか)、ねらい過ぎない良さが夫々にあって、私は好きになりました。でも何よりなのは、それが玲未さん個人の表現として、魅力的なものである事。工芸の領域の仕事の中には、若い人の魅力的な仕事をなかなか見いだす事が出来ず、いささかうんざりしていた私にとって嬉しい出会いのひとつでした。嬉しかった事をもうひとつ。物並べの日に東北から二人のお客様があり、玲未さんの「へんな人達」を買って下さった事。しかもその内のお一人が、仕事の厳しさで知られている、ホームスパンの織り手・蟻川喜久子さんだったので尚更でした。
さて、催事のふたが開くと、玲未さんのお客さんであろう若い人達が圧倒的に多く、びっくりするやら、感心するやらでした。
この先に光あり。

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