2016年2月15日月曜日

「森信也クロッキー展」会期延長のお知らせ


皆さんにお知らせしていた「森信也クロッキー展」の会期を一週間延長して、21日(日)までといたします。もう少したくさんの皆さんにご覧頂きたい為で、昨日店に来てくれた森信也さんとも相談し、延長を決めました。こんな良い(加減な)事が出来るのが、個人商店の良さで、同じく昨日店に来てくれた八女の朝日屋酒店•高橋さんにも、いかにも私らしい(そのいい加減さが)と、言われました。好評の作品集(クロッキーの動画2ポーズのDVD付き)も増刷を決めました。

2016年2月8日月曜日

忘れられないもの 11 編組品六種その1

福岡書芸院発行の冊子「たんえん」二月号に掲載の記事、「忘れられないもの11 編組品六種その1」をお届けします。


昨年の「たんえん」十一月号でご覧頂いた編組品六種を、これから二回にわたり個々の品のエピソードも交えて、皆さんに少し詳しくご紹介致します。初回に取り上げるのは、インドネシア「にわとり籠」、フィリピン「背負い籠」、中国「手提げ籠」、この持ち運びに関わる三つの仕事です。


まず初めはインドネシアの「にわとり籠」です。籠全体を材料のヤシの葉で大きく四つ目編に編みながら五角形に作り、上の二辺が合わさった処に、籐を交えて「持ち手」が作られています。また、その二辺は他の辺の一•五倍位の長さに作り、うち一辺に大きく開いた縦長の口が作られています。籠は大きさが数種類あり、今回ご紹介する一点は高さ56cm 巾65cm と一際大きく、この大きさから察するに、名前の由来となった“にわとり”ばかりでなく家鴨(あひる)など、大型の家禽もこれに押し込んで持ち運ぶのかもしれません。前•福岡民藝協会会長•野間吉夫氏の数回に渡るインドネシア行きで採集された品の一つ、夫人のふきさんから頂戴したものです。


次は、パシキンと呼ばれるフィリピンの「背負い籠」(高さ40cm 巾35cm)です。2006年、倉敷民藝館特別展示室で開催された「山本まつよ蒐集による フィリピンの手仕事展」に出陳された品の一つです。材料は東南アジアに広く自生する籐を使い、全体を網代編で仕上げています。籠の各処には、「背負う」という用途に対する細かい工夫が織り込まれていて、感心させられます。まず背負う場合の「負い紐」にあたる部分を見ると、肩に掛かる部分を筒状に丸く作って、肩への負担を和らげているのが目に入ります。一方、籠の底の部分は籠自体の強度の確保と地面に置いた時に転ばない様、竹を曲げ回して本体にしっかり取り付けられています。負い紐に手を入れて籠を背負ってみると、背負う事で負い紐が籠の蓋を押さえて、中のものが飛び出さない様に作られている事などは、具体的な形になったものを使いながら、折々に工夫され改良されて来た結果に違いありません。


最後にご紹介するのは四十数年前、初めて渡った香港の荒物屋で手に入れた籐の「手提げ籠」(高さ44cm 巾40cm)です。以前記事中で紹介した事のある倉敷のNさんに頼まれて渡った、初めての外国が香港だったのです。この時はこの籠の他に、棕櫚の手箒や小さめの持ち手が上に付いた大きな竹籠、黒い釉薬の掛かった型物の土鍋や土瓶、蓋物などを手に入れました。訪ねた店で暖めたコーラが出て来て驚いたり、道を尋ねたお礼にお金を渡そうとして(前もって、そうする様に言われていたのです)断られ、恥ずかしい思いをしたのもこの時の事です。外国の下町特有の匂いと喧噪。わくわくする様な数日間の香港滞在でした。最後に一つご報告。今回取り上げた三つの籠の底の大きさを試しに計ってみたところ、なんとこれがみな同じ750㎠なのです。不思議です。

2016年1月30日土曜日

「森信也クロッキー展」が始まりました

今日の店の全景

本日1月30日、無事に「森信也クロッキー展」が始まりました。2階会場は少し物を足して、当店らしくなりました。この写真は、故障の為しばらくお蔵入りしていたパナソニックのLX-1を使いました。

2階正面
12年ぶりに見出されたクロッキー
線の上から着彩された作品3点
着けられた彩は岩彩なのだそう

2016年1月29日金曜日

「森信也クロッキー展」明日から

「森信也クロッキー展」が、明日1月30日から始まります。その準備の為、小雨の中を森さんの自宅迄お迎えに。午後5時過ぎから、“作品並べ”が始まりました。この催事が楽なのは、下準備さえしていれば、全て森さんが自分で並べてしまう処です。とはいうものの、「どうしても」の処は目をつぶって貰いますけれど。
そんな訳で、2時間程で“作品並べ”は終了しました。開店は12時からです、ご注意下さい。お出掛けお待ちしております。。

一階のぞきの作品、今年の初作品
全体はこんな風です、モデルは私だそうです
一階から二階への壁面
上の写真、右端の作品
二階踊り場横の壁面
二階正面左手
上の右端に見える作品、2004年作で偶々見つかったとか
正面右手
右手壁の作品
右手の作品
正面の作品
これも右手の作品
左手窓際の作品
作品集とDVD
作品集の中身

2016年1月23日土曜日

「森信也クロッキー展」のお知らせ


来る1月30日(土曜日)から2月14日(日曜日)迄、十年振りに森信也さんのクロッキー作品をまとめて見て頂きます。出品作40点程は、2014年から15年に掛けて制作されたものから選んだものです。最初の個展から十年。この時間の経過の中で、表現者としての森さんが見出したものを、“クロッキー”と云う一つの切り口を通して私達もまた追体験する、そんな実り多い場にしたいと思います。なお今展の会期は2週間と長く、会期中の月曜日2月1日と8日の両日はお休みいたします。また、開店時間もお昼12時から午後7時までになっています。ご注意下さい。以下は出品作と案内状の文章原稿です。

線の上から着彩した作品
線と色を合わせた作品
線だけで表現された作品
この大きさもあります

森信也さんの作品を最初に目にしたのは2004年初夏の事です。
それから暦が一巡りして、このたび、久し振りで森さんのクロッキー作品を見て頂く事になりました。2006年1月の作品展開催にあたり、最初に目にした森さんの作品展の印象を、私は次の様に記しています。「 壁にかけられた20点たらずの小さな作品の画面から、生き生きとしたものを孕んだ気配の様なものが立ち昇っていて、それに私は魅せられました。中略 これは、私の好きな坂本善三のドローイングやスペインの彫刻家チリダのエッチングなどの作品から、同じ様に感じさせられる“なにか”であって、そこに表現された“線の力”から生み出されたもの、としか言いようがありません 後略 」。クロッキーの生き生きした線の魅力は相変わらずですが、それに加えて今展では、線の上から着彩した作品や線と色を合わせた作品など、クロッキーの表現の間口を拡げる作品40点程とクロッキー作品が生まれる瞬間を可視化したDVD付きの作品集(予価2000円税別)を販売いたします。
どうぞお出掛け下さい。作者在廊日は未定です。
電話 092-526-0662 かamaneya◎gmail.com (◎は@)でお尋ね下さい。

2016年1月2日土曜日

忘れられないもの10 「泰山金剛経」入手の顛末 

皆様あけましておめでとうございます。福岡書芸院発行の冊子「たんえん」2016年1月号掲載の記事、「忘れられないもの10(「泰山金剛経」入手の顛末)」をお届けします。


新年が皆様方にとって幸多い年であります様お祈り申し上げます。
さて、年が改まって最初の今回は、35年前に友人の助けで、思いがけず手に入った「泰山金剛経(6世紀•中国六朝時代)」石拓の話です。

1981年春三月。その当時は仕事で出掛ける際、よくフェリー(小倉日明港から瀬戸内海経由 神戸港や大阪南港まで)を利用していました。夕方乗船して翌朝早く目的地に着き、一日仕事が出来ておまけに料金も安い。その事で、大事な時間とお金を節約出来ている様な気がしていたのでしょう。もちろん乗るのは二等船室ですから、広々とした畳敷きの大広間があり、寝む(やすむ)際に使う貸毛布(代金200円)も充分に用意してあるのです。ところが、この時ばかりはそれ迄に経験した事がない程の多勢(畳一枚を二人で使う位の乗客数、貸毛布皆無)の人で、夜、私は普通に上を向いて寝むのですが、人が多すぎて体を横に(つまりどちらかの側面を下に)しないと寝めないのです。後で判った事ですが、この時は「神戸ポートピア(博覧会)」開始後まもなくであった事に加え、甲子園に於ける春の「全国選抜高校野球大会」の日程が重なり、双方の見物客ばかりでなく応援の人々までがいて、この様に尋常でない人出になったらしいのです。

この大変な一晩の後、大阪から夜行バスを乗り継いで出掛けた仕事先の東京•赤坂にあった中国の物産品を取り扱う店「S」で出会ったのが、立派な帙に入った大量の「泰山金剛経」です。ばら売りはせず、纏めてでなければ売らないとの事。値段(300万円)を聞いて諦めかけましたが、ひとまず福岡に帰り着いてから連絡する事にして、取って置いて貰う事にしました。


福岡では友人二人に相談。廻りの皆に呼びかけ、一口一万円で三百口集めて買い取ろう、という事になりました。結果は大成功で完売。
この時相談した友人の一人が、他ならぬ前崎鼎之さんだったのです。今回ご紹介するのは私の手元にある二枚で、一枚目は「是念我得(是を念じて我を得る)」。二枚目は「持衣鉢入(衣を持ち鉢に入る)」。
読み下しは出鱈目(でたらめ)です。心の有り様として、「民藝の世界」と縁の深い「自力(じりき)」と「他力(たりき)」を象徴する言葉の様に読めて大好きな字です。

2015年12月31日木曜日

あった事会った人 12

今年最後のブログです。今年2月から始まった「せんきた工藝店」の仕事も含め、八女と福岡の催事で大わらわの一年でした。しかし、その分充実もしていましたし、色々なものを見る機会も増えて嬉しい一年になりました。皆様方もどうぞ良いお年をお迎え下さい。

11月初めの「中野個展」に於ける食事会
京都•せんきた工藝店に於けるパーティでの様子
パーティー参加者
12月初めの薮庭流花教室でのリース
「工藝の愉しみ•師走展」出品のグアテマラの民画
ラリーキルトやタイの木綿ショール