2010年10月11日月曜日

いっちんの仕事 二種



私の身辺に有るもので、いっちん(スリップと呼んでも良い)の新しい仕事を二種類、お目に掛けましょう。一つは、岩井窯・山本教行作の長角皿で、柿釉の地に黒の化粧土で模様を描いたもの。残る一つは、小鹿田焼・坂本工窯の尺一寸皿で、白い化粧土で皿全体に模様を描き廻したものです。一方は、個人作家として、自らの仕事を常に振り返る中から生み出されたもの。もう一方は、自らの仕事の“根”を意識しながら、繰り返される仕事の中から生まれたものです。

山本さんの仕事は、いまから12、3年前にさかのぼり、柿釉の地に黒の化粧土の仕事をさかんにやっていた頃のもの。この時の仕事の中に、友人のTさん一家所蔵の見事な九寸皿があり、今でも私の欲しい物の一つになっています。

坂本さんの尺一寸皿は、2006年の浦和・柳沢画廊に於ける
“抽象紋の皿100展”の時に、初めて試みられたものです。
始めた頃は、ひどくたどたどしい仕事振りで、自転車にたとえれば、補助輪をつけないと倒れてしまいそうな幼児の自転車乗りに似て、
どこか危なっかしいものでした。それが、3年目を過ぎた頃から、
実に楽々(の様に見える)と描ける様になり、いっちんのパターンも増えて、ここ数年続けて来た“小鹿田焼・新作の試み”の、大きな成果の一つと言っても良い位の仕事に成長しました。

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