この10年近く、「秋分の日」をはさんで八女の福島八幡秋祭りの時期に合わせて、「高橋宏家」「同家土蔵」等で開催して来た催事を、今年はお休みいたします。来年はまた八女で皆さんにお会い出来る様に念じながら、より一層愉しい催事が出来る様に計画中です。その代わり、平尾の店の2階で前期が9月22日から30日迄、後期が10月13日から21日迄の二期に分けて「喜びのたね命のかて」展と題し、柚木沙弥郎作「旅の歓び」の原画と工藝関係の書籍を集めた会を開催します。出品作や書籍類の詳細は、後日ご案内いたします。
「話しの種」「飯の種」等の様に、「何々の種」と言う言い方の「種」とは、大方、材料とか手立てという意味合いで使われている言葉です。今展のタイトル名「喜びのたね 命のかて 展」は、あまり聞き慣れない、その意味で、いかにも未消化な言葉です。いわば、思いつきに近い言葉を、改めて皆さんに言葉を使って説明する事自体に無理があるのです。かといって、即物的に中味を説明する言葉を並べてタイトルにするのも、気に入りません。しいて言えば、自分が何を仕事の拠りどころにし支えにして、毎日を過ごしているか、これを皆さん方に見て頂く、そんな展観です。柚木沙弥郎という染色家は、若い頃から私の憧れの染色家で、驚くべき事に95歳を過ぎた今でもお元気で、現役の作り手です。その柚木さん60代半ば頃のお仕事の一つが、’86年に「用美社」から刊行された「旅の歓び」で、今回出品の原画は型染めの仕事の前の、一つの手掛かりとして描かれた編集用の原画です。今回それをマット装にし、工芸関係の書籍ともども皆さんに見て頂く事を思い立ちました。写真の書籍類タイトルの切り文字は柚木沙弥郎の師匠の芹沢銈介の手になるものです。小さい展観ですが、師弟競演になる訳です。どうぞ、お出掛けの上ご覧下さい。
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