2022年10月28日金曜日

第二回「平山元康作陶展」のご案内

 

来たる11月19日(土曜日)から12月4日(日曜日)の日程で、丹波篠山で食器の仕事を中心に作陶活動を続ける平山元康さんの10年ぶり2回目になる個展を開催いたします。3年前の11月に上京の折、平山さんから御案内を頂戴していた個展を拝見しました。会場で10年ぶりに見る平山さんのお仕事振りは、外見に大きく変わった印象はないものの、全体に用器としての彫琢が進み、どの品もしっかりした骨格に筋肉を鎧った「健康な肉体」を見るようでした。驚くと同時にひどく嬉しかった事を覚えています。

今回、案内状用に送られて来た品をフィデルの藤田さんのスタジオに持ち込み、いざ撮影となった時(私の悪い癖ですが)どの品も省くに忍びなく、置き台まで用意して撮影に臨み、結果、目一杯の大盛りてんこ盛りの画面になってしまいました。最初にご紹介しているのがその画面です。結局、皆さんに差し上げる案内状は2枚目の、藤田さん選択の品物が少なめの画面構成の方を選ぶ事になりました。今展は会期が長いので、会期中の月曜日11月21日と28日は休みます。作者の平山さんは初日(土)・二日目(日)は不在で、23日(祝日)のみの在廊になります。皆様のお出かけをお待ちしております。



2022年10月18日火曜日

二つのお知らせ

 

今日はみなさんへの嬉しいお知らせが二つ。一つは、昨年12月に一旦閉館を発表した「岩立フォークテキスタイルミュージアム」が今年の10月14日(金)から翌’23年1月27日(金)までの期間「対話する布 ー Cloth that talks 」出版記念展を開催するとのお知らせです。この「対話する布」は、同ミュージアムが活動を始めた2009年から閉館を決めた2021年12月までの37回にわたる活動記録を、それぞれの展観のチラシに添えられた写真と館長岩立広子氏の、現地に足を運んだ同氏の見聞に基づく知見と、集められた「布」に対する愛情と該博な知識によって綴られた文章で構成された90ページほどの冊子です。私家版として作られましたが、好評な為、このほど増刷と一般販売も行われることになったものです。ただ、この展覧会は一週間のうち金曜日のみの開催で、それも午前は10時から12時までと午後は13時から15時まで、それぞれ10人限定で行われる<完全予約制>です。予約は以下の同館ホームページから。 www.iwatate-hiroko.com


もう一つのお知らせは、’22年11月11日(金)から翌’23年11月5日(日)まで、倉敷民藝館で行われる「少年民蓺館展」です。 この展観は、倉敷民藝館初代館長 外村吉之介著「少年民藝館」(1984年用美社刊)に収められた様々な品を集めて展覧に供するものです。出版の翌’85年、福岡で開催された「外村吉之介講演会 ー 生活の美しさについて ー」の会場に数十冊を準備し、皆さんに買って頂いた事を思い出します。また、前年か同年であったか記憶がはっきりしませんが、同書出版記念に行われた「少年民藝舘展」の会場である宮城県立博物館まで、今は亡き及川隆二(盛岡光原社専務)、蟻川紘直(染織家)の両氏とはるばる盛岡から車で参加、会場で行われた記念のクジ引き(宮城県民藝協会主催)で、私が大当たりの1等賞品、芹沢銈介の板絵、を引き当てた事も、今となっては良い思い出です。

2022年10月11日火曜日

古釜の蓋を焼物で作る

今年の夏、仏壇のある我家の座敷の大掃除をした折の事、「段ボール箱」に収まったままの状態で古茶釜が出て来ました。これは15年近く前に、当時よく通っていた西公園のAという古道具屋で分けてもらったものです。手元に来たばかりの時は、ひと月に一度はお茶の稽古をしていた事もあって何とか使ってやろうと思い、釜口に合う寸法の唐金の蓋を探したり、道具屋の知人に頼んで市(いち)で探してもらったりしたのですが、ぴったりの寸法の物は市にも出て来ないとの事で、なかば諦めてそのままにしていたのです。今回、改めてweb上で探して見たりもしましたが、寸法はともかく、形がひどいものが多いのです。画像でもお分かりの様に、何のケレン味もなく、ただ茶釜の形をした素直な形の美しいものです。(知人の鋳物師 樋口陽介さんによると風炉用の釜だ、と言う事です)鐶付(と言うらしい)の部分の磨耗具合や釜肌を見るに、おそらく三百年以上は使われて来て、釜の底の部分は何度か鋳直されているらしく見え、底と古釜本体の鉄肌の具合が明らかに大きく違います。

そこで、以前にも考えていた事ですが、焼物でこの古釜の蓋を作ってみようと思い立ちました。試しに、手元にある佐賀・白石焼の大きめの薬土瓶の蓋を載せて見た処、あつらえた様に寸法も収まりもぴったりです。誰に頼むか考えた末、仕事上でここ十年くらいのお付き合いがある宮崎・三名窯の松形恭知さんに声を掛けました。11月の大阪・梅田阪急での個展を控えてお忙しい時期でしたが、(予想通り?)嫌な顔もせず個展用の作品と一緒に作って下さいました。それが今回ご紹介する八種の陶製の蓋です。お茶の席で「陶製の蓋」などは見た事がありませんから、正式な席では使われる事がないものでしょう。しかし、この八種の色味の違う蓋と古釜の相性の良い事、驚くばかりです。「良いもんだね、川口君!」外村先生にお目に掛けたら、きっとこう仰有るに違いないと、私は秘かに思っています。



2022年10月3日月曜日

「くらしにあかりをともすしごと」
販売終了のお知らせ


 2020年12月20日に500冊が手元に届き、それから1年と10ヶ月あまり。あまねや工藝店創業40周年記念文集「くらしにあかりをともすしごと」が予定数をすべて売り切り、ここに販売を終了した事をお知らせいたします。出版からこの2年余り、直接お問い合わせ頂いたり、ご来店中に記念文集の話になり、実物をご覧になり買って下さる方など様々でしたが、その度毎に、著者としての喜びと幸せを感じる日々でした。先行予約で事前にお振込下さった200人の方々、そして、5冊・10冊(中には50冊と云う方も)と定価でお買い上げ頂き、まわりの方々にお勧め頂いた皆様方のおかげです。 改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。