9月、10月の2ヶ月間は事も多く、人にもたくさん会いました。
まず9月の第1週と第2週の月曜日に続けて、一人で映画を見に行きました。今年初めての映画鑑賞で、KBCシネマと云う天神の外れにある映画館です。上映作品は、7月に東京の岩波ホールで公開され評判になった映画「大いなる沈黙へ」と、ポーランド映画「IDA イーダ」です。「大いなる沈黙へ」は、戒律の厳しいフランスの山中にある男子修道院グランドシャルトルーズに初めてカメラが入ったドキュメンタリー映画、「IDA」は若い修道女見習いが主人公の、今時珍しい白黒映画です。
さて、「大いなる沈黙へ」は上映時間を事前に調べたつもりが、上映期間によって上映時間が異なる事などの事情もあり、なんと開始2時間も前に映画館に行くと云う不始末。仕方がないので、松葉杖をつきつつ天神の裏町を2時間近く歩き回った末に、館内に入ってびっくりしたのは、130席定員の映画館内が、同世代(60代)とおぼしき大勢の御婦人方(中に顔見知りが御二人)でほぼ満員だった事で、撮影許可が出るまでに16年掛かっただの、ナレーションも音楽もない3時間近くの映画である事だの、話題に事欠かないこの映画の人気の高さを象徴している様でした。
中で、印象に残ったのは盲目の老修道士が語る「神に過去はない、現在だけだ」と云う言葉と、映画の中に旧約聖書の中に書かれている言葉として引用されている「神は私を誘惑された」で、信仰の本質を簡潔にそして実に見事に言い当てている、と思いました。それに比べて、「IDA」は舞台は同じ修道院ながら、一人の少女の成長物語、とでも言った内容で、パンフレットの美しさに惹かれて見に行ったものの、少しく期待はずれでした。
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Tさんご夫妻と |
さて、9月19日(準備)から29日(撤収)までの「山本教行+plus 展」については、「あまねや通信」でご報告していますが、珍しいお客様がお見えになりました。驚きまた嬉しくもありました。
昨年11月から今年3月末まで私が入院していた際お世話になった、「粕屋新光園」のナースのMさんとリハビリ担当の理学療法士のTさん、が訪ねて下さったのです。八女まで来て下さった事も嬉しかったのですが、御二人ともに、それぞれ蓋付き土鍋を買って下さって、これも大変嬉しい思いをしました。
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久しぶりの記念写真の後、飲み屋での写真 2枚の間にだいぶギャップがあります |
10月に入って9日、’90年10月に店を平尾に移す際、現店舗改修の実施図面を描いてくれる等して、大変お世話になった、札幌で「フーム空間計画工房」と云う名前の建築事務所を経営している宮島豊さんが、瀬戸内の祝島から錦川を経由して(もちろん列車で)、店を訪ねてくれました。ただ、当日待てど暮らせどやってくる気配のない宮島さんを待つ事2時間、相変わらずの顔をようやく見せてくれました。当夜宿泊予定の、宿近くの飲み屋で2時間程、飲みかつ食べて、8年振り再会の博多の夜は賑やかに更けて行ったのでした。
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当日、16人程の人で鑑賞 |
10月12日、台風19号の九州接近が報じられる中、「八女 • 民映研の映画を見る会」の第1回上映会、「越後奥三面(えちごおくみおもて) ー山に生きる日々ー」に参加する為、八女の朝日屋酒店へ細君と二人で出掛けました。今回の演目「越後奥三面」は、30年程前の1985年、友人達数人とで始めた「福岡生活学校」主催の「民俗文化映像研究所連続上映会」の記念すべき第1回上映作品で、私にとっても思い出深い作品です。内容の詳細についてはここではふれませんが、30年振りに見ても実に良い映画だと思いました。私達が現在の暮らしで無くしてしまったものが丹念に記録されていて、今こそ大勢の人に見て欲しい映画だと、改めて思いました。半年程先に、当店で上映すべく計画中です。八女で見逃された方はぜひご参加下さい。
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Hさんとのツーショット、私は特に赤い顔です |
10月30日。4年前の「柴田雅章作陶展」の時に初めて来店、その後おつきあいの始まった、京都在住で神社仏閣の内部に漆を塗る仕事をしているHさんから突然の電話で、いま宗像大社の仕事で宗像にいて、明日大分の宇佐八幡の仕事で宇佐に移動する前に会いたいが、都合はどうか、とのお尋ねです。喜んで会う事にして、今年8月下旬の開店前に、あれこれの品を買って頂いた今泉2丁目の和食とお酒の店「穴井」に行く事にしました。新築ビルの2階で、入り口の前には買って頂いた品の一つ、白の麻布を仕立てた一間半程の幅がある5枚仕立ての長めの暖簾が掛かり、店内も白を基調にしたモダンで清潔な作りで、食べながら飲む今夜の様な我々にはぴったりのお店でした。2時間程、あれこれ楽しく話をして再会を約し別れました。