2008年12月4日木曜日

鹿児島で苗代川の酢がめに出会った事




鹿児島滞在3日目の今日は、いよいよ鹿児島展の初日です。大事な初日なのですが永田さんに無理を言って、坂本夫妻と私の3人は霧島市福山の福山酢いわゆる薩摩の黒酢を造る工場を見学に出掛けました。鹿児島に出掛ける前は、30年ぶりの鹿児島だから美山地区に出掛けて苗代川焼でも見て来ようと思いもしたのですが、今の事情を聞いてみると出掛けなくともよさそうです。代わりに苗代川の酢がめを使って黒酢を作っている福山に行く事にしました。宿から車で桜島に渡るフェリー乗り場へ。15分程で桜島着。それから小1時間程走って黒酢を作る福山地区へ。8軒のメーカーが黒酢を作っており、ちょっとした運動場くらいの広場に見渡す限り酢がめが並んでいます。ただ予想に反して、並んでいるかめの大半はどうやら苗代川焼ではなさそうです。後で聞いてみると、40年程前から苗代川では酢がめを作らなくなり、信楽焼また、最近は価格の点で韓国や台湾の物などが多いとの事。しかし、執念で見つけました。あるメーカーの酢がめが並べてある広場の隅の方に、ひっそりと10数本の酢がめが横になったり臥せられたりしています。酢がめの蓋もそば釉に発色した感じの良い物です。残念ながら、金網越しなので手に取る事は出来ませんが、100年以上は経っているとおぼしき優品です。後にそのメーカーで頒けて貰えるかどうか聞いてみたところ(私ではありません)、にべもない返事です。でも考えてみたら、欲の深い人は何も我々だけではない筈ですからあたりまえです。酢がめに心を残しつつ、別のメーカー経営のレストランで昼食。最後に、福山地区の入り口に有る小さなメーカに立ち寄って壷の中を見せてもらったり味見をさせてもらったりした後、展覧会場の可否館へ向かいました。本番はこれから、とても楽しい半日でした。

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