昨日に引き続き「歳迎えの会」出品の品々から、本日は木工品の紹介です。まずは、ルーマニアの三本脚のスツールです。以前作られていた同種のスツールは座板が平たいもので、座を貫いて付けられていた脚の楔等の加工技術に問題があり、ぐらつきが気になっていたのです。2年程前から座板が半円の形状に変更され、椅子全体の造形的なバランスも何処か生き物を見るような趣もあって、ぐらつきの問題も解消しました。右横の座面が大きなスツールは、エチオピア(案内状にはケニアと書いてしまいました。訂正します。)のスツールです。スツール全体を丸彫で刳り出して造られたものです。従って、見る者に”強い”印象を与える椅子の造形(かたち)と同じく強度もまた無類です。
さて次は、成形に使った道具の荒い刃跡が残る横長の刳り鉢です。何処で造られたものやら国籍は不明です。見つけた時は、永い間放置されたままででもあったのか、埃まみれで真っ黒でした。写真では見えませんが、長辺の上縁のすぐ下二箇所に手掛かりが繰り出してあります。あるいは李朝辺りの時代の造形かもしれません。次は左手前の丸盆です。大きさはおよそ尺二寸、インドの盆です。時間や手間をお金で計らない、そんな世界が産み出した造形です。同様の大きな木鉢も見た事があります。右端の”のんびり”した印象の木鉢は李朝時代の木鉢(小さめの丼大)です。ゆっくり回転する轆轤で成形されています。