2019年9月30日月曜日

愉しい一夜


今回、二年ぶりで八女展が無事に開催出来ました。準備日の20日は、すでに秋祭り初日の前日でもあり、福島八幡境内や会場前に屋台の設置準備が進んでいて、小雨もパラつく中、会場(高橋宏家土蔵)への設置機材搬入が滞りなく運ぶか心配しましたが、テキ屋のお兄さんがたにもお手伝い頂き、無事に終了。


午後から夕方に掛けて、遠く山口県から手伝いに来て下さった中村順子さんはじめ、秋祭り見物で八女滞在中の水町純夫妻や奥さんのメラニーの母上のカリーン、また、21日から3日間「朝日屋酒店」で子供の本の出張販売の為に八女滞在中の井上良子さん等が準備を手伝って下さり、大助かりでした。百子手製の夕飯とワイン4本、また親切な大家さん提供の繁升の銘酒などで盛り上がり、九時頃には朝日屋の高橋さんも参加、久しぶりに遅くまで愉しい一夜を過ごしました。

2019年9月28日土曜日

第3回「喜びのたね命のかて展」が始まりました

八女展会場「高橋宏家土蔵」の様子
福岡会場1階踊り場の壁に掛かる作品2点。
「机辺静物」と題された型絵紙染の大作とうちわ絵
すでにお知らせしております様に、3回目の「喜びのたね命のかて展」が開催中です。21日から始まった八女展は25日で無事に終了。引き続き28日から10月13日まで福岡展が始まります。
今回、八女展と福岡展との間の準備期間が二日間しかなく、心配しましたが、なんとか準備完了。どうぞ、お楽しみにお出かけ下さい。

1階のぞきの様子
2階正面および舞台の様子
吹き抜け壁の様子

2019年9月18日水曜日

民映研「越後奥三面」福岡上映会のお知らせ

             ©️民族文化映像研究所
民族文化映像研究所(通称 民映研)1984年制作の記録映画「越後奥三面」の、34年ぶりになる福岡上映会のご案内です。1985年に仲間数人(福岡生活学校)で手掛けた初めての民映研「越後奥三面」上映会は、今考えると無謀で、恐ろしく高いハードルを越えないと実現出来ないような困難なものでした。
例えば、当時の上映は16ミリフィルムによるもので、賃貸料も10万円程。見たいと思えば、大きな会場を借り人を集める事でしか、自身も見る事が出来なかったのです。また、上映会場によっては16ミリ映写機を自分達が廻さなければならない場合に備え、その夏、世話人二人が「16ミリ映写機操作認可証」を得るため講習会に参加。会場も市の中心部に近い500人収容の市民センターホールを借り、友人の協力で立派なチラシを作ったりもして、懸命に情宣活動に励んでみるものの、一向に入場者数の見通しが立たぬまま日が過ぎて行くばかりでした。

そんな折、当時、毎日新聞西部本社学芸部記者であった東さんが、写真入りの囲み記事を上映会前日の夕刊に書いてくださり、そのおかげで、その日の午後4時を過ぎる頃から、私の店にさかんに問い合わせの電話が入り始めたのです。当日は、地元民放の朝のラジオ番組に民映件所長の姫田忠義氏が電話出演して下さったりして、蓋を開けて見ると、なんと450人近くの入場者でほぼ満席の大盛況だったのです。
この時の貯金で、以後約20年、細々と上映会を続けてきた訳ですが、参加者が先細りで赤字続きになり、全作品上映が叶わぬまま断念、終了となった訳です。以下、内容が重複しますが、2014年に八女で「越後奥三面」を見た後に書いたブログの再掲載、そして今回上映会のチラシの原稿です。色の薄いゴチック体がブログの、濃い方がチラシの文章です。

30年前の1985年9月に、「民族文化映像研究所」(民映研)の映画「越後奥三面(えちごおくみおもて)」を初めて見ました。新潟•山形両県の県境近くの三面川上流に位置し、冬から早春に掛けては獣の狩り、また斧(ヨキ)や手斧(チョウナ)を使って作る丸木舟作り、熊オソと呼ばれる熊穫りの為の罠作り、ゼンマイ小屋を建て全村を挙げひと月にわたって行う春のゼンマイ採りなど、村周辺に広がる広大な朝日山地と田畑を中心とした農業を生活の基盤にした暮らしが営まれる奥三面。その集落が県営ダムの計画により丸ごと湖底に沈む事になり、失われてしまう地域の生活の様子や祭事、伝えられて来た生活技術までを、「民映研」が現地に家を借りて4年掛かりで撮影した貴重な記録映画です。1984年制作ですから、上映会当時は現在の私達が抱える社会問題の一つとして、なんとかそれを廻りの皆に知らせたい、と云う思いが私達主催者側に強くあった事を覚えています。

上映会前日、毎日新聞夕刊の文化欄に当時、学芸部の記者であった東さんが書いて下さった写真入りの紹介記事、そして当日朝の民放のラジオ番組に民映研所長の姫田さんが電話取材という形で出演して下さった事もあっての事か、福岡と北九州の二会場を併せると600人程の方々がこの映画を見て下さり世話人一同、胸をなで下ろしました。その同じ映画を、昨年11月に改めて八女で見、その後1月に「椿山(つばやま)」4月に「奥会津の木地師」など、計4本の民映研の映画を見て感じたのは、初めて「奥三面」を見た当時の私達が考えていた(私が考えたがった)様に、それらの映画が「声高に時代を告発する」為の(社会正義的)映画では実はなく、「記録」という作業を通して、地域や時代を超えた「人の暮らしのあり方そのもの」を問う視点の深さを持つものである、事にようやく気がつかされました。それが、単純に見る側である私自身の年齢の所為なのか、過ぎて来た時間の中で様々な経験(学習)をして来た結果によるものか、それは判りません。
以下、略。
1985年福岡初上映の折、30代半ばであった私はこの映画を、いつの時代にも人の世にある理不尽な出来事に対する「告発」の映画としての側面のみを見ようとしていた様に思います。ところが、2014年11月に「八女 民映研の映画をみる会」で30年ぶりに「越後奥三面」を見た時、この映画が、これまで私が理解していた浅薄で皮相な見方よりも、はるかに深く長い射程を持つ「まなざし」に貫かれた記録映画である事に気が付きました。いつ観ても、その「時代」またその時々の「私」を映す鏡としての映像表現であって、或る地域や或る時代をフィルムの中に固定化し、閉じ込めただけの記録ではなかったのです。どの時代にも開かれているという意味で、優れた文学や音楽、美術などの「古典」と呼ばれる作品群が人に対して持つのと同じ意味(価値)を持つ表現、と言って良いかもしれません。
さて、福岡では34年ぶりになる今回の「越後奥三面」上映会では、ゲストとして、この映画のみならず民映研の多くのフィルムにカメラマンとして参加、活動を続けて来た伊藤硯男(いとうみつお)氏をお迎えして、撮影中のエピソードなどを交えた三面の事や、御自身もその一人である創立メンバーの姫田忠義氏(故人)や小泉修吉氏(故人)の事等々、広くお話しを聞かせて頂く予定です。皆さまふるってご参加下さい。参加のお申し込みは、092−552−1651(井上)か 092−526−0662(川口)迄。