新しい年を迎えるにあたり、皆様方のこの一年の御多幸をお祈り申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。さて、これを読んで下さっている皆様方は、新年の食卓をご家族で囲み雑煮を祝う方々が大勢いらっしゃると思います。ただ、現在の暮らしは以前に比べて、大きな食卓を家族皆で囲み朝食や夕食を摂る、そんな場面がずいぶん少なくなっている様に思いますが、如何でしょうか?
そこで、家族関係の融和を計り改善に役立てるべく、厚生労働省によって新しく考案された、家族数人で囲む「独り用の小さな食卓」三種が今回御紹介する品なのです(と云うのは冗談です)。
さて、この三種の一人用の食卓(膳)ですが、
最初に御紹介するのは松材で作られた韓国の羅州盆((高さ27cm 径46cm)です。韓国の歴史ドラマを見ていますと、これに甕器の小鉢や徳利が載せられて、酒や食事を楽しんでいる場面が出て来たりします。他に欅を材料に使ったものもあります。
次は、藤と竹(構造に関わる部分は籐で、テーブルの面にあたる部分が竹)で作られたタイのラフテーブル(高さ23cm 径43cm)です。タイの少数民族ラフ族の手になる事から、そう呼ばれている様です。当店では、催事の際の花台によく使います。カントクテーブルとも呼ばれます。日本で使うちゃぶ台位の数人で使う大きなものもあります。
最後はインドネシア•ロンボク島産の木彫でデュラン(高さ20cm 径40cm)と呼ばれるものです(このデュランの用途は供物台かも知れません、あしからず)。これにも二廻りほど大きなものがあります。材料はフタバガキ科(ラワン材の様な)の木材だと思われます。
以上、作り方も材料も違うこれら三種の小さな食卓(膳)に共通するのは、椅子を使わず床に直に腰を下ろして、これらの食卓を自分の前に置いて食事をする事で、これらの道具が産み出されたそれぞれの国の文化や生活習慣が反映されたものになっている事、言い換えれば、そこにそれら道具類の国籍がきちんと刻されている事です。しかし国籍の違いを越えて、この三種の食卓(膳)の寸法が比較的近いものになっているのも興味深い事です。