2008年11月23日日曜日

菖蒲学園 訪問の事





鹿児島を訪問する前「菖蒲学園」の学園長 福森さんに連絡を差し上げて、14日金曜日に学園をお訪ねする事にしました。この朝、鳥取から夜行バスを乗り継いで可否館に来てくれたG女史ともども総勢5人。昼食は学園のレストランで食べる事にして、可否館の永田さんにご案内頂き1時過ぎに「菖蒲学園」へ。まずはレストラン「お多福」に行き、皆でパスタ定食を食べました。モダーンで綺麗な建物、聞けばテーブルや椅子は福森さん御自身の作であるとか、最初の驚きがここから始まりました。私はクリームソースの生パスタを頂きました。美味しい上に安くて(950円)びっくり。昼食後お別れした永田さんをのぞく4人を福森さんご自身で、園内の工房や住居棟を長い時間ご案内下さいました。私がこちらをお訪ねしたいと思ったのは、今年の7月友人の住むメルボルンに出掛けた折、朝食を取る為に入ったカフェで知的障害を持つ人達の絵の小さな展覧会をやっていて、その仕事が私には何とも素敵に見えたからなのです。
さて、知的障害を持つ人達の為の施設「菖蒲学園」には、縫い(刺繍)、木工、焼物、和紙の他平面の仕事やレストランなどで、入所している人や通って来ている人が仕事や作業に従事しています。ご案内頂く福森さんのお話しの中で興味深く聞いたのは、比較的障害の重い人達にとっては、具体的な作業そのもの(例えば布を糸で刺す、或は刃物で板に傷を付ける)の中にそれぞれの興味があり、その作業が終わると自分が手掛けた(例えば2年がかりでシャツにびっしり刺繍をした)ものに対する執着は、なくなるのだとか。出来上がったものに対する思惑(果たしてこれが幾らに売れるだろう等の価値観)に左右されている我々には、耳の痛い話です。その後、ご案内頂いた住居棟では、使われている無垢の建築素材や設備の充実している事に驚かされました。そして、なるほどと思いさもありなんとも思ったのは、これらの施設が出来てから入所者の人達の情緒面が、とても安定して来たとのお話を福森さんから聞いてからです。私たち自身の住まいを考えてみても、そこで使われている素材の大半は偽物です。木の振りをした床材、木目の模様をプレスした外装材等々。私自身、ある時東北行きの新幹線の窓から外を眺めていて、さてどの辺だったのでしょうか、1軒の家のほとんど全てが石油製品の加工品で出来た家々が、ずらりと並んでいて唖然とした事があります。周囲の自然や風景との何と云う落差。話が脱線しました。最後に、出来た物や作品をストックしてある場所で「平面の仕事」を拝見し、来年早い時期の再訪を約して、福森さんとお別れいたしました。私にとって充実した1日になりました。

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