2008年8月3日日曜日

真夏の日本で



先週日曜日の昼頃シドニーを発って、日本時間で午後9時半過ぎに無事大阪の関西国際空港にたどり着きました。出発が1時間遅れましたから、機内で10時間半近くを過ごした訳でいささか疲れました。それにしても、大阪の何という暑さ。
夜ですら28度,昼間は35度だったとか。シドニーとの気温差20度はこたえます。その日泊まる予定のホテルにたどり着いて荷物を改めて見ると,なんとオーストラリアで大活躍したデジタルカメラが見当たりません。新品ではなかったものの、正確な色の再現性と多彩な機能(ほとんど使いこなせず)そして少し古風な姿を好ましく思っていたので、ずいぶんがっかりしました。
シドニーの空港で出国検査の時に引っ張りだしたのは覚えているのですが,そこから先の記憶が曖昧です。娘を通じて,空港に問い合わせをしましたが見当たらないとの事。諦めるしかないのでしょうね。

それにしても,日本の工業製品の「商品」としての寿命の短さは驚くばかりです。私自身どうしようもない「物好き」なので、現行製品の中で気にいる物がないとしばらく待ってみる事にしています。なくしたデジタルカメラも、そうやって昨年春に買った物です。
日本の工業製品に見られる技術の突き詰め方は、戦後間もないソニーのトランジスターラジオに象徴される「軽く,薄く」と云うのが代表的な方向性です。それ自体が悪い訳ではないにしても、右から左まで皆同じと云うのが困るのです。或る製品がヒットすると、それに似た製品が市場に溢れるのは食品から自動車まで変わらない風景です。

倫理観の欠如ならびに「デザイン」と云う言葉自体に対する勘違い、としか言いようがありません。私の師匠であった倉敷民藝館 初代館長の外村 吉之介先生から伺ったお話しの中に、それを見事に説明出来るエピソードがあり、それを皆さんにご紹介いたします。
或る外国人(英国であったか米国であったか,はっきりしないのが困りものですが)とのお話しの中で,日本語の「装飾」にあたる言葉として、"decoration" "ornament"の2語が有り,その違いを先生が尋ねられたときの説明として"decoration"は"put on"デコレーションケーキの生クリームの様に、上に乗っているだけで構造そのものとは関わりが無い働きの事、"ornament"は丁寧に作られた工藝品の様に、構造そのものから帰結する働きを示す言葉との事。
上のエピソードになぞらえて言えば、本当のデザインとは材料、構造,機能を勘案してそこから必然的に導きだされる働きの事。
残念ながら,日本の工業製品のデザインについての考え方は、「商品」の上に乗せられるだけの「意匠」としての働きとしか考えていない様に見えます。30数年前に読んで感心した本、米国のデザイナーで教育者のヴィクター・パパネックの著書「生き延びるためのデザイン」(晶文社)を皆さんにご紹介してこの話を終わる事にします。

私の使っていたデジタルカメラは、パナソニックのDMC LX-1と云う型番のもの。今月22日に、LX−3の型番で新製品が発表されるらしく,いまどちらにするか迷っています。

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