2022年7月13日水曜日

珈琲店で彫刻と版画を見る


 11日月曜日、5日の「展示作業」以来約1週間ぶりに、「熊井展」開催中のコーヒーカウンティ久留米本店を訪ねました。古材で作られた扉や、南面する窓一面に作りつけられた印象的な棚に珈琲色の土壁。おおよそ店の半分は、珈琲豆の焙煎に使う巨大な焙煎機や水廻り等の作業スペースに当てられている空間に、彫刻作品や平面作品をどの様に配置するか、難しい課題でした。画廊や美術館は、白い壁に明るい光で満たされた空間に作品を並べ、表現の細部まで明らかにする様に意図された空間です。会場のコーヒーカウンティは、落ち着いて珈琲を飲みお喋りを楽しむ商業空間であって、物を見る事に限って言えば、当然照度は足りない筈です。

ただ、私たちの普段の暮らしを考えてみると、いつもいつも明々とした光に満たされた空間にいる訳ではなく、時に少し暗めの空間に身を置いて気を静めたくなります。その尺度で、この「熊井展」開催中のコーヒーカウンティの店内空間に身を置いてみると、これらの彫刻や平面作品が、具体的にどの様な見え方で私たちの日常の生活空間に納まってくれるか、を想像する事はさほど難しくないと思います。

天井から下がる大小様々なアルミ丸棒による立体作品、珈琲色の土壁に架けられた20点以上の平面作品、店のたたきに置かれた少し大きめのブロンズや石彫作品など、私たちの日常の暮らしとあまり縁がないと思われていた美術作品と呼ばれるものが、身近にあって、違和感なく楽しく同居出来るものである事を皆さん方に実感して頂ければ、今回の会場の「もの並べ」、まずは成功です。

0 件のコメント:

コメントを投稿