2018年12月1日土曜日

忘れられないもの44 健やかな道具 2


「健やかな道具」2回目の今回は、大きなもので尺五寸、小さなものでも九寸程の皿4種です。一番大きな白釉の皿は、20年近く前、東京•西新宿のコンランショップで手に入れたもので、イタリア製の型ものです。この皿に上絵付けをし絵皿として飾るカンバス替わりの無地の皿で、これより小さな九寸位の皿もあります。最初に買った大皿は、自身買い物自慢でもしたかったのか、何かの折に山本教行さんにお目に掛けたら大喜びされてしまい、そのまま差し上げてしまいました。次に上京した時にもう一枚買い、勇んで持ち帰る途中(何しろ大きいので)、JR新宿駅の地下改札口へ下る途中の階段の角にぶつけて、凄い音と共に木っ端みじんに。その後、同じ処を訪ねても手に入らず諦めていました。それからずいぶん時間が経って、仕事で岩井窯をお訪ねした時にその話をしましたら、同じ皿が手元に2枚あるからと、この一枚を山本さんから頂戴したのです。


次は、トルコの仕事で、銅に錫メッキを施した金属製の皿です。これも白釉皿と同じく、皿の縁が広い形をしています。或るイタリア料理店で、この形の磁器の皿にパスタが盛られて出て来た事がありますし、旧拙蔵の十六世紀オランダ•デルフトの白釉皿も同じ様な形状の皿でしたから、西欧世界では縁の広い形状の皿はさほど珍しいものではないのでしょう。


三番目の皿は、2006年浦和の柳沢画廊で行った「抽象紋の皿100展」の折、小鹿田の坂本工によって造形された尺一寸の皿100枚の内の1枚です。皿の内側に白釉が打ち掛けられたこの1枚、(知る限りに於いて)それまでの小鹿田焼の仕事に、らっきょう壷や雲助•水甕等の肩に釉を打ち掛けた仕事はあっても、皿の内側に同じ様に釉が掛けられたものはない(坂本工 談)との事で、立派な新作の一枚という訳です。


最後は、山陰(おそらくは石見辺り)の仕事で、緑釉が皿の内側に意図や躊躇いの跡を見せず、大胆に打ち掛けられた尺一寸あまりの皿で、雑用品としては申し分のない仕事です。

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