2017年5月1日月曜日

大坪浩の “ 雲 ” について

大坪浩さんが繰り返し描いた画題の一つに「雲」があります。15歳まで過ごした中国東北部の広大な平原に現れる、雲や雨雲を眼にした体験が下敷きになっています。日本の風土ではおよそ考えられない目の届く限りの大平原。そこに突如現れる「雨雲」、その下だけ雨が降っている様子が見える。それを造型したのが、大坪さんの「雲」です。以下、そんな様々な「雲」を紹介します。

“旅する雲”と云う題の作 SM
この二点もSM、これはたんぼと
水路かもしれず。あしからず
“あめあめふれふれ” F4
雲(雨雲に見える) S4
元氣で闊達な“雲” F4
静かな“雲” F4

ここ30年、大坪浩の描いたモチーフは限られています。主に、たんぼ、雲、空と海、の三つです。私には、最初この絵が何だか判りませんでした。只々、美しい絵と呼ぶしかない絵です。しかし、三つのモチーフの内それが何かを考えれば、答えは明らかで「雲」以外考えられません。好きな絵を一点、並んだ絵の中から自由に選んで良いと云われたら、私はこれ、”あかね雲” F4を選びます。坂本繁二郎から学び得たものを、弟子である大坪の手で、60年近い画業の末、見事に造型された一枚の絵。明らかに、大坪浩の傑作の一つです。

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