2015年9月14日月曜日

あった事会った人 11

ヨーガンレールのブースに並ぶ漂着ゴミ製の照明

9月19日から始まる八女での「第四回 十八番の会」を二週間程先に控えた9月6日の夜、夜行高速バスで東京に向かいました。
約2年振りの事です。あれこれの事情で、なかなか出発日を決められず、電話でバス切符の有無を問い合わせた時は、残席わずか一席(窓側7C)。幸運でした。午後7時10分、天神バスセンターを出発。
最新型のバスで個室4席付きです。他の座席も前の仕様に比べると、大き目でゆったりしています。

上と同じくペットボトルの蓋製の照明

失望は翌朝から始まりました。これまで東京行きの夜行高速バスは、名古屋から中央自動車道に入り、翌朝最初の洗面休憩が諏訪湖SAで、そこから終点までの3時間(正確には最初の1時間程)の車窓風景が素晴らしいのです。南アルプスの麓を縫い、甲府盆地を抜けて富士山を裏側から見ながら、八王子から新宿駅西口まで。新しいルートは名古屋から新東名自動車道に入り、最初の休憩が静岡SAです。それからの3時間は特に素晴らしい風景もなく、皆さんにはお勧め出来ません。

もっとも雨模様の天気でしたから、晴れていれば富士山が見えるのかもしれません。7日朝9時30分頃、30分遅れで新宿駅西口到着。慌ただしく出掛けて来た所為で、お土産も買って来ませんでしたから吉祥寺の「小ざさ」の最中を買う事にして雨の吉祥寺へ。
買物の後、旧友のF君と待ち合わせ、高知県南国市で竹細工の仕事をしている山崎大造(やまさきだいぞう 昨年度日本民藝館賞受賞者)さんの個展を見るために、初めての店 O へ。ここの店主Kさんは、昨年福岡での催事の折に当店を訪問してくれたため、答礼訪問も兼ねての事です。会場に並ぶ様々な籠のうち、直径が2m近くありそうな生け簀籠にヒントを得て作られたという巨大な籠が印象的でした。

島の海岸に流れ着いた漂着ゴミの写真(すら美しい)

F君とお茶の水や新宿の中古オーディーオやCD、音楽関係書籍を置いている店をハシゴして、本2冊を購入。その後、Aさんと待ち合わせている京王線笹塚駅に向かい、Yさんのお見舞いの為「つるとかめ」へ。2年振りでお会いするYさんは一回り小さくなっておられたけれどお元気で、一緒に童謡を歌い愉しい時間を過ごしました。
翌8日は朝からの雨を押し、モトちゃんと一緒に駒場の日本民藝館へ。特別展の「芹沢銈介生誕120年記念特別展」を見た後、横浜の中華街へ。昼食後、横浜のOさんを訪ねて、京都「せんきた工藝店」の催事の為のモノ選び。入荷したばかりのメキシコの木の椅子の他、まずまずの選品を終えて帰宅。

ぶれて解像度が悪いので読めますか
翌9日は朝から雨模様の中、頑張って地下鉄の大江戸線で木場にある東京都現代美術館へ。「おとなもこどもも考える ここはだれの場所」展のヨーガンレールのブースで、彼が住んでいた沖縄の島の海岸に漂着したプラスチックゴミを使って作った、照明器具や履き古した(これも漂着ゴミの)ゴムゾーリを使ったインスタレーション、を見るのが目的です。同美術館は5•6年前(もっと前かもしれません)メキシコ人の建築家、ルイス • バラガンの展覧会を見に行って以来2度目です。
以前、facebookに上がっていた、展示物の「会田家」檄文が撤去されるかもしれない、と話題になったその檄文も無事で、経緯は知りませんが、美術館側との折衝ではどうやら”美術家 会田誠”の勝利に終わった様です。ヨーガンレールの展示物は、元は漂着ゴミであるにも関わらず、美しいものでした。写真を見て頂きましょうか。

これらのゴミが照明器具に
よく見るとその正体がわかる
漂着ゴムゾーリの展示


9日昼過ぎの新幹線で大阪へ。梅田阪急で開催中の「柴田雅章築窯40年記念展」を見る為とその後のレセプションに参加するのが目的です。7日、留守宅に柴田さんから連絡があり、その会場でゲストの一人としてお祝いの挨拶をしなければならなくなったのです。翌日から原稿を書き始め、推敲して最終原稿が出来上がったのが新大阪駅到着直前でした。会場で聞くと私の持ち時間は3分だそうで、書き上げた原稿がどの位の時間に納まるものやら、見当もつきません。参加者(120人)皆が食事中の挨拶なので、少し気が楽でした。メモに目を落としながら挨拶し終えると、約2分程だった様で一安心。会場には丹波の平山元康君や子供達も来ていて、3年振りの再会を喜びました。

会場の様子
平山家の子ども達と
パーティー会場

翌朝、駅近くのホテルまでせんきた工藝店のK君夫妻に迎えに来てもらい、鳥取岩美の山本教行さんの窯に向かいました。参考館に並んでいる少し前の時代の山本作品を見るのが目的です。
午後3時過ぎにクラフト館岩井窯到着。早速、並んでいる作品(三十代の頃のものから)を見せて頂きました。他のものと合わせて、一人の作り手の45年に渡る作品を見るにつけ、多様に見えるそれらの造形も、ただ一人の人間の“憧れ”が、時間の流れの中で様々に姿を変え形を変えて其処に有るだけで、本質的なものは何も変わらない、そう私には見えました。個人作家とは、自分に与えられた只一つの歌を生涯歌い続けられる人、そう思いました。

クラフト館岩井窯、前面が増築されて作品展示室に
参考館内部
長辺が尺五寸位の特大長鉢
上の大長鉢より心持ち小さめ
参考館内部1階

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