2014年6月2日月曜日

大澤美樹子染•布展2014福岡展開催のお知らせ

今月7日(土)から15日(日)までの予定で、染色家で東京女子美術大学名誉教授•大澤美樹子さんの、当店では10年ぶりになる個展を開催いたします。大阪•東京に引き続き三カ所目の開催になり、“動く布 • スカート”と云うサブタイトルが与えられています。
この個展の為に染められた型染布や注染布と三種の形のスカートをご用意し、選んで頂いた形に必要な用尺の染布を切ってスカートを作る、セミオーダー方式です。大澤美樹子さんは7日と8日、在廊の予定です。以下、個展の為のチラシと案内状の原稿です。


このたび、染色家で女子美術大学名誉教授•大澤美樹子さんの染布作品を、大阪•東京•福岡の三つの会場で、皆様に見ていただく事になりました。大澤さんにとっては、一昨年春の大学御退官後、初めての個展です。そして、今回は一人の作り手の作品が数ヶ所の会場を巡回する通常の個展と違い、異なった持ち味の三会場それぞれの展示空間に合わせた作品を大澤さんが制作し、それを皆さんにお目にかけようと云うものです。大阪会場のギャラリー•アカンサスは、オーナーが住み暮らす生活と共にある空間、東京会場は著名なアメリカ人建築家 F•ロイド•ライトの設計になる自由学園•明日館、そして福岡は、戦後すぐに建てられた木造二階建てを店舗に改装したあまねや工藝店、と三ヶ所それぞれに大きさも空間の雰囲気も異なる会場を使い、型染布の表現の可能性を、日々の生活の布(大阪)•空間を飾る布(東京)•動く布•スカート(福岡)、の三つの切り口に託して探ろうと云う、まことに意欲的な試みです。

ところで、大澤美樹子さんの当店主催の福岡初個展は1992年の初夏の頃で、福岡市中心部のあるギャラリーを1週間借りて行われました。ギャラリーのファサードは全面ガラス、内部は白く塗られた天井高5mで20坪(66㎡)程の会場空間に、杣野工房•林栄一の松材の家具を配し、岩井窯•山本教行の焼物を並べた中に、彩りも美しい型染布が幾巾も下げられているかと思えば、ここかしこに銅板のマスクをかぶったベニヤ板製のマネキンが型染布をまとって佇み、ギャラリー内には友人の作曲家•清野謙三が作曲した”大澤美樹子個展の為の音楽”が静かに流れていると云った具合で、一人の作家の個展としては、意を尽くした素晴らしいものでした。20年以上が過ぎた今でも忘れられない展観の一つです。

その個展の際、会場の様子以外で印象に残っているのは、大澤さんが個展会場在廊中いつも身に着けておられたスカートです。同じパターン(型)で細かい柄の色違いのもの数枚を、かわるがわる御召しになっていて、なんとおしゃれな人だろう、と感心したのです。そんな経緯もあって、今回の福岡会場の為の作品が、”動く布•スカート”であると聞かされた時の嬉しさが如何ばかりのものであったか、ご想像下さい。ただ、唯一残念なのは、私自身それを身に着けて楽しむ事が出来ない事ですが、これは会場で試着なさるお客様の姿を見せて頂くだけで満足する事にいたしましょう。前回の個展から数えて10年ぶりになる「大澤美樹子 染•布展 2014 福岡展」への皆様のお越しを御待ち申し上げます。  

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