2011年10月16日日曜日

“第2回 鈴木照雄作陶展”のお知らせ






3月の大震災の折、最も大きな震度(震度7)を記録した宮城県栗原市で作陶をしている友人・鈴木照雄君の、実に16年ぶりになる2回目の個展を、今月29日から11月6日まで開催する事になりました。前回の時には今年30歳の娘が中学生でしたから、ずいぶんと時間が経った事になります。鈴木君の事は、すでに私のブログで何度か(2009年7月25日付「鈴木照雄君の事」、同年11月25日付「東京から東北へ その5」)紹介しました。現在は、3年掛かりで手を入れた築80年程の農家に、犬や山羊、鶏などと暮らしています。母屋の横には屋根を差し掛けた小さな部屋があり、中に薪ストーブも据えてあって其処が細工場になっています。2009年の晩秋、住居を移して初めて私が訪ねた時は、そこに泊めてもらいました。

また家の内外を問わず、筋の通った工藝品が様々に置かれ、暮らし手・作り手としての鈴木照雄君の「憧れの在処」を物語っているかの様です。目の前、二百メートル位の処には視界を遮る林があって、廻りは、田圃と樹木そして竹林で構成された静かな風景が広がっています。こう書くと良い事づくめの様に聞こえますが、都会暮らしに慣れた人間には、つらい環境でもあるのです。家の内と外を隔てるのは、明り障子のみ。居間に小さな炬燵はありますが、ひどく寒いのです。熊や猪、狐なども出没。散歩も命がけ(?)です。
こんな暮らしぶりの中から生み出される作品は、地味の肥えた畑で栽培された野菜の様に、骨太で逞しいのです。これ迄に柔らかな物しか食して来なかった口に、それはいささか筋っぽく、噛みごたえがあるやに感じられるかもしれません。

この事を、私は今回の案内状で次の様に書いています。
さて、鈴木照雄君の仕事の特徴はと云えば、今時の流行(はやり)仕事に比べると、大きく“なまっている”事です。しかし、その“なまり”は作り手の暮らしぶりや、仕事が生み出される土地柄を反映した、本来的な意味で工藝品に備わっているべき、好ましいものです。
そしてこの消息を、陶芸家・河井寛次郎は、「暮らしが仕事 仕事が暮らし」と云う短く美しい詞(ことば)で表現しています。

さて、初日29日の午後6時からは、ヴァイオリニスト・河村典子さんの「ヴァイオリンひとり」 J.S.バッハ 無伴奏ソナタ&パルティータ連続演奏会(来春と来秋の都合3回)も行なわれる予定です。河村典子さんについては、あまねや通信2010年11月7日付「私達は“何を”売っているのか?河村典子さんと会って考えた事」を御参照下さい。
したがって、オープニングパーティーは演奏会終了後の午後8時頃から、河村さんとの交流会も兼ねて、賑々しく開催予定です。詳しい事は、あまねや工藝店までお問い合わせ下さい。

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