2016年10月2日日曜日

わすれられないもの 17 藍胎漆器四種

この画像には藍胎漆器四種以外に、
日本の朱の蓋物が写っています

タイ、ビルマ、フィリピンなど、主に東南アジア一帯で広く行われている漆器の仕事に「藍胎漆器(らんたいしっき)」と呼ばれるものがあります。竹や籐など、編組品に適した材料で形を作り、その上から漆を塗って、小さなものから大きなものまで(私の身の回りに有るもので申し上げれば、径が5cm程の愛らしい色漆彩色の蓋物から、60cm以上もありそうなフィリピンの大盆まで)様々な用途、形のものを作ります。ただ、日本では身近な生活用具としての木製漆器に比べると、普段、私達が目にする機会はさほど多くはありません。今回ご紹介しようと思っている四種の「藍胎漆器」も、産地がはっきりしているのは一種類のみで、残りは正確な産地がわかりません。


まずは国籍のはっきりしている品、タイの「キンマ入れ(径9cm 高さ9cm)」です。「キンマ」とは、檳榔樹(びんろうじゅ)の実をキンマの葉にくるみ、少量の石灰と一緒に噛む、タイやビルマで広く行われて来た一種の嗜好品です。写真でお分かりの様に、深くかぶさった蓋の内側に、本体と浅目の二つ(写真では一つ)の内蓋があり、檳榔樹のの実と石灰、そしてキンマの葉をそれぞれ入れておくのに使います。


次は、何に使ったものでしょうか、少し縦に長い(径は底で6cm、大きい処で7,5cm高さ13cm)容器です。蓋を取ると、身と蓋の合わさる部分が朱に塗られていて綺麗なものです。

三つ目は、細く裂かれた竹か籐で編まれた蓋物(高さ6cm7,5cm角)です。函の強度を稼ぐ為、蓋と身の底の部分に力竹が入れてあります。

最後は白粉入れででもあるのでしょうか、やつれは目立ちますが、色漆で花模様が描かれた小さな愛らしい蓋物(径5,5cm高さ4cm)です。

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