2010年5月20日木曜日

片付ける悩み




16日の日曜日で山本教行さんの記念展も終わり、片付けに入りました。今日は、日頃東京にいるTさんがひょっこり現れて手伝ってくれたお陰で、お返しする荷物の梱包もすっかり終わりました。催事が終わった後の片付けで一番悩ましいのは、残った作品のうち何を残し何を返すか、その選択です。何かで読んだのか或は誰かから聞いたのだったか、今は思い出せませんが、浜田庄司ほどの大作家でさえ、
自らの個展の出品作の中で合格点のつけられる物は、2割程だったのだそうです(2割とは言っても、濱田の“厳しい眼”を考えれば、実は大変な事だと思いますけれど)。店に残す山本作品は、(出来得れば)作家自身も合格点をつけたものでありたい(まー、私の欲でしょうけれど)、そう思っています。

私自身、“売り手”として山本さんと30年近くお付き合いさせていただく中で、一人の作家が自らの個展を、作品と云う具体的な物で如何に構成し、何をその展覧会の柱として考えているのか、おぼろげながら見えて来た様な気がしています。その“柱”とおぼしき作品が、自分の気になるものと重なると大変です。
今回、残った作品の中で、そんな“花入れ”が2点。小さめで、いずれも塩釉のごく単純な形。そして技術的に見れば、“掛分”と云うさほど難度が高いとも思われない作品なのですが、山本さんの作陶生活に於ける一つの到達点を示すと思われる、みるからに恰幅の良い上出来の作品です。とは云っても、それが誰にでも認められる訳でないのは言うまでもありません。“売れないだろうなー、でも欲しいなー”と思いながら、残す事あるいは返す事(まだ、迷っています)の苦しさと喜び。一人の作家と長く付き合う醍醐味が、ここには確実にあります。

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