2024年9月10日火曜日

" 川口いつき個展 " 作者の言葉


Itsuki Kawaguchi’s recent body of work, developed during a three-month residency in Japan, explores the subtle interplay of faith, nature, and the ordinary—a harmony deeply rooted in the Japanese landscape and its spiritual traditions. In these works, Kawaguchi captures the essence of Japan’s sacred environment, where the rhythms of everyday life are imbued with a quiet, unspoken reverence.

The work is an evocative meditation on the organic forces that shape both the land and the spirit. Volcanic mountains, ancient camphor trees, flowing river streams, and the melancholic song of Higurashi cicadas are rendered with a sensitivity to their symbolic weight. These natural elements become visual metaphors for the unseen yet ever-present kami, the divine spirits of Shinto belief.

Kawaguchi’s practice, influenced by daily walks towards an 800-meter-tall mountain cloaked in billowing clouds, channels the delicate tension between the ordinary and the sacred. Each walk became a contemplative act, bridging the space between the material world and the spiritual realm, an exploration of the equilibrium between transient moments and timeless tradition.

This collection embodies the spirit of the Japan that Kawaguchi calls home—one where the gentle rhythms of life and the deep, abiding presence of nature and faith converge, crafting a quiet yet profound narrative of place and belonging.

今回の一連の作品は、私・川口いつきの日本での三ヶ月に渡る滞在制作プロジェクトから生み出された。その間、私はここ日本で営まれる日常生活の中にある、信仰と自然の織り成す絶妙な調和を探し求めた。これを言葉に置きかえれば、日本の風景や精神文化に深く根付いた「伝統」と呼んで良いのかもしれない。'In Gods' Country'と名付けられた今回の作品は、日本における日々の暮らしの中に静かに息づく自然に対する畏敬の念を、日本の神聖な環境の中に見出し、それを絵画作品として表現したものである。

これらの作品群は、大地と心を形作る自然の力について、見る人に深い省察を促す。火を噴く山々・年経た楠の木・小川のせせらぎ・哀愁を感じさせるヒグラシの鳴き声。これもまた、私達のまわりに拡がる風景を表す単なる言葉ではなく、それ自身の持つ象徴的な意味を丁寧に表現したものなのだ。自然を構成するこれら一つ一つの言葉そのものが、目には見えずとも、常に身近に存在する神々 - 神道の”神” - を表す視覚的な比喩ともなっているのである。

大宰府に滞在中、私の日課となった往復7kmの散歩。雲がたなびく標高800mの宝満山に向かって歩くこの散歩は、私にとって、平凡な日常と神聖なものの間にある繊細な緊張関係を実感する手立てとなった。散歩は瞑想に似て、目に見える世界と見えない世界とをつなぐ架け橋のようなものだ。つまるところ、私の散歩は、一瞬で過ぎ去る現在と大昔から延々と続く伝統の中に存在する時間との調和均衡を探る、そんな旅を日々繰り返していたとも言えよう。

今回のコレクションは、私が”故郷”と呼ぶ日本の魂を表現している。穏やかに過ぎて行く日々の営みと、自然や信仰の中に同じ様に見出す事が出来る深く変わらぬ存在が、融けあい混じり合って、静謐でありながら心に響く、そんな場所とそこに帰属する人々の物語を紡ぎ出しているのである。

*「作者の言葉」の日本語訳について 原文の英語を日本語に翻訳する際、文意を損なわない程度に大幅な「意訳」をしています。

2024年9月3日火曜日

「川口いつき個展」のお知らせ

8月19日の投稿で、「むすめの絵」展として お知らせしておりました催事の再度のお知らせです。当初、案内状も作らずブログとインスタグラムだけのお知らせで開催の予定でしたが、出品点数は少なくとも娘の初個展でもあり、急遽、藤田孝介さんに撮影をお願いして、催事案内状200枚を作る事にしました。友人・知人を中心に案内するつもりですが、案内をご希望の方がございましたら、Eメールにて、 amaneya○(@マークに置換える)gmail.com までお知らせ下さい。

2024年8月19日月曜日

9月催事のお知らせ「むすめの絵」展

 

私どもの長女 いつき が、2001年にオーストラリアに渡って23年。日本で過ごした時間よりも、オーストラリアでの暮らしの方が長くなりました。シドニー郊外のロリエン・ノヴァーリス シュタイナー学校クラス12(高校三年生のクラス)に一年在学の後、「オーストラリア国立美術学校」に4年間在籍。卒業後、様々な経緯を経て、「絵を描く」事を仕事にすると思い定め、今年の6月初めに帰国して約3ヶ月の自宅滞在中にも、十数枚の絵を描き上げました。8月末の娘の帰国を前にして、最近作の山をモチーフにした三点のアクリル画と、それらの下絵(アイデアスケッチ)数点の、合わせて十点にも満たない小さな催事開催を思い立ちました。「個展」を名乗るには余りにも少ない作品数ですが、皆さんにご覧頂けますなら幸いです。

’24年9月14日(土)〜29日(日) 13時から19時まで (月曜定休)

2024年8月8日木曜日

あまねや工藝店 夏季休暇のお知らせ


あまねや工藝店は盆休みを含め、8月12日(月曜日)から20日(火曜日)まで、夏のお休みを頂戴します。酷暑の夏です。皆さんも、呉々も体調に気を付けて楽しい休暇をお過ごし下さい。

2024年8月3日土曜日

あまねや工藝店の夏


「井上湧 個展 ー青竹細工の仕事 ー」が終わって一息つく間もなく、正面に「ナヨン」将来のフィリピンの編組品のほか染織品などを並べて、あまねや工藝店の夏がやって来ました。

2024年7月24日水曜日

「井上湧個展」何とか準備完了

 

明後日26日から始まる「井上湧個展」の準備が何とか整いました。正面のテーブルの上および手前の板の上、そして右側ののぞきに30点程の青竹細工の諸作が並びます。どうぞお楽しみに。明後日、準備出来次第Instagram上に投稿の予定です。

2024年7月19日金曜日

「井上湧 個展」まで1週間

五月連休明けに一つと五月下旬から六月の初旬に掛けてもう一つ、六月中旬から七月第一週に掛けて三つ目と、片付けともの並べに撤収・荷造り発送が続いて、まことに慌ただしい二ヶ月間でした。気がつくと、七月第四週の三日間 26・27・28日に行なう「井上湧個展」が目の前です。店に向かって左側ののぞきの中が、ようやく冬から夏に衣替え。そのタイミングで、店の中に22歳の竹細工職人 井上湧君の竹細工30点余りを並べる場所(隙間)を、どうにかして作らなければなりません。来週の金曜日が初日です。日曜日までの三日間の会期中は、作者はほぼ在廊との事です。皆さんどうぞお出掛け下さい。